創業の動機を持った「創業者」の役割(”Source Principle”の考え方)

新しいプロジェクトが立ち上がるときには、必ずなんらかの「動機」が存在します。この「立ち上げる動機」にフォーカスされているのが、Peter Koeingというコンサルタントが実体験から体系化した話です。(科学的な調査研究に基づいているわけではない、と本人も明言されてます)
https://workwithsource.com/

すごい端的に言ってしまえば「最初に言い出した1人」が極めて特別である、という話です。いくつか要点だけ意訳してみます。

Sourceというのは、「最初の動機を持った人」であり、「リスクを取って具現化を進めた人」のことを指します。たとえCo-founderがいたとしても、Sourceにあたるのは「必ず1人」であると言い切っています。

Every human initiative – from projects to parties to entire businesses – starts with one single founder, the source. The source is the person who takes the first risk to realise an idea.
Many people believe there can be equal co-founders who got started ‘together’, but Koenig has found that in every case there is one single source. Two or more people cannot take the initiative on exactly the same idea at the same moment. Someone is always first. They are the source.

また、sourceという「最初の動機を持った人」は、ものごとが進んでいったときに、「動機」に合っているか否かが直感的に分かるとのこと。

Only the source knows whether their need is being met, and they have a strong felt sense of which next steps for the initiative as a whole are right or wrong.

このsourceは適切な手続きを経ていけば「継承」もすることができます。ただし、形だけ継承しても実態が伴っていないとうまくいきません(創業者が引退したのに影響力を行使している、とかは分かりやすい悪例)

Just as there is a specific moment when the source creates the initiative, there is a specific moment when the old source succeeds in passing the torch to a new one. This is a collaborative act between two people but when it happens it’s like a pole shift. Everyone can feel it and know that it has happened.
Meanwhile, the true source is still energetically tied to the initiative, even if they are not physically present or have resigned their formal position. They may experience difficulty letting go or putting their full energy into new activities.

 

さて、これをスタートアップの事業の立ち上げフェーズに当てはめると、より具体的にSourceという言葉が表すリアリティが分かりやすくなります。

【フェーズ0】創業者+創業メンバー

一番初めは、創業者と数人の初期メンバーを含めた「創業メンバー」がプロダクト/サービスを作っていきます。実質的にはほとんど同じ世界観や動機を持っており、「共同創業者」のような役割を果たしていくことになります。
ただ、Koeingの考え方を踏襲すれば、最後の最後で担保してるのは創業者(さきほどの話で言えばsource)ただ一人になる。

【フェーズ1】創業者が初期のクライアントに営業する

次に、創業者(および創業メンバー)が初期のクライアントを見つけにいくフェーズに移ります。原則的には意思決定できる人に直接会いに行き、実現したい世界観や創業のコアな動機や問題意識を直接つたえていきます。

プロダクト/サービスはまだMVP(minimum viable product)というか、本当に初期段階が作られているだけであり、「創業者がいかに多くの顧客に会うか」が事業を伸ばすためのキモになります。

クライアントの中には、意思決定ではない相手とのコンタクトから始まり、「一緒に社内の意思決定を説得しにいく」みたいなケースもあり、その場合は「先の先」の相手まで創業の動機を届けに行く必要があります。

【フェーズ2】”1人目”のセールスが採用される

組織が成長していく上で、大きな転換点となるのは、”1人目”のセールス担当を作れるかどうかです。
創業者(source)ではない人が、自社のサービスの動機をどれだけ説明できるようになるか、が問われます。

このセールス担当がクライアント社内の意思決定者に会えない場合は、創業者から数えて「3人先」にまで創業の動機を伝えていく必要があることになります。

【フェーズ2.5】セールスが増えていく

“1人目”が出来た次は、当分、かなり長い間は「創業者と直接のつながりがあるメンバー」が増えていきます。
もちろん、15人〜20人くらいを越えてくると、組織図としては間に「マネージャー」という階層が置かれることも多くなります。

それでも、創業者との直接のつながりがないメンバーというの相当先まで生まれません。安直な具体例で言えば、採用選考のプロセスに創業者が関わっている限りは、ここのつながりは担保されていきます。

企業によっては、かなり早い段階から創業者が採用を「委ねる」こともありますが、Sourceの考えかたを踏まえるとあまり筋が良いと思えないですし、個人的な肌感としても上手くいかないことが多い気がします。

【フェーズ3】創業者と繋がりのないセールス

さすがに一定の規模(200-300人くらい?)になってくると、創業者と直接の面識がないメンバーも生まれてきます。
その場合、創業者(source)からすると「4人先」まで生まれてくることになります。

もちろん、全てが「口伝」で行われるなんて現実的ではありませんし、世界観や動機ではなく「プロダクト/サービス自体の生み出す価値」そのものが購買決定の要因に移っていく、といった観点もあります。

一方で、たとえばSalesforceなどは、毎年Dreamforceという世界中から15万人がSanFransiscoに集まる一大イベントをやっていて、Mark BenioffのKeyNoteが象徴的なイベントとして開催されています。
創業者(source)だからこそ持ちうる影響力は、特に初期段階ではきちんと扱うことが、組織づくりにおいてはいかに大事なのかが象徴的に現れている観点かなと思います。


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