ティール組織における評価と報酬

ティール組織への変容を話している中で、「報酬の決め方」「評価の仕方」をどのように変えていけばいいのか、というのが良く論点になります。

ティール組織」(原題はReinventing Organizations)の原作者であるフレデリックラルーもあるQ&Aで”Evaluations and money are a sensitive topic in any organization!” とコメントしていますし、自然経営(じねんけいえい)という言い方で、自然を模した、非管理型の経営スタイルの探求と発信をしていっていますが、この中でも「評価をどうするか」が議論のテーマにもなりました。

調べ始めたばかりではあるのですが、備忘録を兼ねてここまでの雑感をまとめてみます。

会社ごとにやり方は様々

最初から元も子もない話ですが、どの会社にしても、人への洞察、パフォーマンスの定義、組織で大切にする価値観などが異なります。
そして、その思想哲学に合うように評価や報酬の仕組みも発展させてきています。

たとえば典型的だなと思ったのは、W.L.ゴアという会社。
日本ではそれほど知名度は高くない気もしますが、経営管理に関するイノベーティブなアプローチに古くから取り組んでいます。(階層をなくす、経営陣の承認がなくてもプロジェクトを始める、10%の時間を好きなことに当てて良い、とか)
ゲイリー・ハメルの「経営の未来」の第5章はまるごとこの会社のことが扱われていたりもします。

これだけ経営管理にこだわっている会社ですが、「給与の決め方に関しては透明性はない」ある記事で言及されていました。
・チーム内での相互フィードバック
・全部を集計
・一部の人だけが全容を見る、それ以外の人は「上・中・下」くらいしかフィードバックされない
といった具合です。
(今は違ったりするのかもしれませんが)

「決め方」と「評価軸」の基本パターン

とはいえ、色々見ていても、決め方そのものが際立ってユニーク、みたいなものはほぼ見られません。

「決め方」に関して言えば、大きくは「自己申告」と「ピア・フィードバック」の2つのいずれか(もしくは両方)によって決められています。
ティール組織の本に出てくる例で言えば、モーニングスターは「自己申告」の側面が強く、HolacracyOneは「ピアフィードバック」の面が強いです。

評価の「軸」は、設定されている場合もあれば、されていない場合もあります。
評価軸を設ける場合は「専門スキル」「アウトプット」「チーム貢献」などによって人を評価し、給与額を決めるに当たっては「市場価格」「企業の利益水準」などが考慮されます。
という、言ってしまえばこれ自体は当たり前に見えるものが多いです。

あとはやや例外的ですが「全員一律」っていう場合もあります。(が、これを採用できる会社は多くない気がする)

常に変わり続ける、そのプロセスが重要。

自律的に動き続ける組織においては、権威や権力によって決められた「結果」が大事なのではなく、そこに至るまでの「プロセス」が重要になります。
報酬や評価ということに関しても、基本的にこれは変わりません。

たとえば、BufferではTransparency(透明性)を徹底して大事にしていますが、ざっとブログを見てみるだけでも最低3回は給与の決め方を改定しています。

この中でわかりやすいのが、2つ目の記事(2015年11月)に「扶養家族手当」のようなものを設定したものの、「独身者や子供を持てない人に不公平」とか「給与に関係がないのでは」みたいなコメントを受けて、3つ目の記事(2016年1月)ですぐに取り下げています。
その代わり、思想として大事にしてることは変わっておらず、その表現の仕方を変えた、ということを丁寧に説明しています。

“We have different locations, preferences, and life situations. And we believe that those differences should have the opportunity to be reflected in our compensation.”

 

全部ひっくるめていってしまえば、「どこかにあるベストプラクティス」を探し求めるのではなく、自分たちにあったやり方に対する試行錯誤を続けるしかより良くしていく道はない、、、ということになります。
とはいえ、色んな試行錯誤を通じた実践知や経験値はまだまだありそうですので、「車輪の再発明」ではないですが、「みんなが同じ失敗をする」ことは避けられるような支援ができれば、とは思います。


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